インフルエンザのお薬:警報レベルまでインフルエンザが流行してきました

警報レベルまでインフルエンザが流行してきました。

インフルエンザは罹った時に使えるお薬があります。

インフルエンザの治療に使う主な薬

名前    投与方法   回数   特徴
タミフル内服1日2回で5日間臨床での実績が一番多い薬です。
効き目は16-17時間くらいです(大人の場合)。
子供は29時間くらい効き目が持続します。
子供に投与するときは精神症状に注意が必要です。
ゾフルーザ内服1回だけ2018年に出た新しい薬です。
タミフルよりも短時間でインフルエンザの症状が消えます。
12歳以上の患者さんにしか使えません。
イナビル吸入1回だけ咳がひどく肺炎になっていたり気管支喘息の症状のある方にはあまりお勧めできません。数日後に再び発熱することもあります。
リレンザ吸入1日2回で5日間咳がひどく肺炎になっていたり気管支喘息の症状のある方にはあまりお勧めできません。再熱発の報告は比較的少ないですが、5日間朝晩吸入する必要があるので、忘れてしまいやすい方にはお勧めできません。
ラビアクタ点滴1回だけインフルエンザの症状が重くなってしまった方などに使います。ここまで重くなると入院治療が必要なことも。

解説

タミフルには散剤がありますので幼児さんでも内服することができます。タミフルは思春期の子どもが内服して精神症状を生じ、家の2階から飛び降りたなどの事件があったため、敬遠される方が多いお薬です。あまり積極的にその年齢のお子さんにおすすめはしていません。

ゾフルーザ12歳以上でなければ使うことができません

イナビルリレンザは吸入で使えるお薬で、咳がひどく肺炎になっていたり気管支喘息の症状のある方にはあまりお勧めできません。

イナビルはもらってすぐに全量を吸入したらそれで終わりです。確実に吸入できる方、定期的な内服や吸入を忘れてしまいやすい方にはおすすめですが、数日後に再び発熱することもあります。

リレンザは再熱発の報告は比較的少ないですが、5日間朝晩吸入する必要があるので、忘れてしまいやすい方にはお勧めできません。

ラピアクタは内服も吸入もできない方、インフルエンザの症状が重くなってしまった方などに使います。ラピアクタを使いたいほど重くなってしまった場合には入院治療が必要な場合もあるので、原則高次医療機関への紹介をする必要があると思います

ここには記載していませんが、麻黄湯という漢方薬を使うこともあります。

インフルエンザは基本的には自然に治るけれど

インフルエンザは基本的には自然に治るべき感染症なので、解熱剤と咳鼻水などの薬を使いながらよく休んで治すという方法ももちろんあります。でも、発熱時に体が震えたり関節痛や頭痛が激しくなることもあるので、しっかり食事をしたり十分眠ったりするために解熱剤ぐらいは使ったほうがいいと思います。

ざっくり言って、

  • 吸入できる年齢の方には吸入薬のうちのどちらかをお勧めすることが多いです。
  • 吸入ができない年齢の方にはタミフルの散剤をお勧めすることが多いです。
  • 12歳以上の方であればゾフルーザ内服もお選びいただけます。
  • どれもイマイチ、という方には麻黄湯をお勧めしたり、解熱剤だけをお出しすることもあります。

というような状況です。

熱が出て病院を受診しよう、インフルエンザかもしれない、と思う時には、これらのお薬のうちどれを選ぼうか、ちょっと考えてから来院していただければ助かります。

インフルエンザは脳炎・脳症を起こしたり、肺炎になることがあります。脳炎・脳症にかかると後遺症を残すことも少なくありません。重いインフルエンザになるかどうかは様子を見ていてもわかりませんし、薬を使っても間に合わないこともあります。でもワクチンを打っておくと重症になることをある程度防ぐことができるようです

インフルエンザワクチンの接種がまだであれば、ぜひご一考ください。

A型インフルエンザに罹患済みの方も、1シーズンに二つの型のA型インフルエンザが流行することもありますし、春先にかけてB型が流行してくるのが例年の状況ですので、接種の予約を入れてあるのならキャンセルせずに受けた方が良いと思います。